栄養補助製品、医薬品

医学栄養

臨床栄養

医学栄養のサブカテゴリーである経腸栄養の市場規模は、2014 年の時点で 113 億ドルに達しており、0 ~ 6 か月用の乳児粉ミルク市場の 140 億ドルをわずかに下回る規模を誇っています。 経腸栄養は、少子高齢化が進む社会で大きな成長が期待される分野といえます。(出典:Euromonitor)

経腸栄養は、例えば手術後や病気の回復期など、年齢を問わず必要とされる栄養ですが、経腸栄養製品を補助的なまたは主な栄養源とする高齢者からの需要の高まりが、この分野における成長の主な要因となっています。さらに、ほとんどの経腸栄養が乳児栄養のような粉末状ではなく、すぐに摂取可能な液状で販売されているという点も経腸栄養と乳児栄養の大きな違いといえます。

しかし、経腸栄養と乳児栄養にはいくつかの共通点があります。例えば、どちらも栄養価の高いたんぱく質を必要としており、多くの場合、乳由来たんぱく質を原料として作られています。特に、乳由来たんぱく質は、ロイシンを含む分岐鎖アミノ酸の数値が高いことで知られています。従来、経腸栄養はカゼイン塩を主な原料としていましたが、近年は濃縮ミルクたんぱく質 (MPC) や分離ミルクたんぱく質を使った製品が多く開発されています。ただし乳糖不使用の調合においてはカゼインが引き続き使われています。 また、濃縮ホエイたんぱく質 (WPC) や分離ホエイたんぱく質を使った製品も増えてきています。 

2011 年から 2012 年の間に新たに販売が開始された経腸栄養製品を分析 した結果、経腸栄養製品分野において、MPC および WPC が製品原料として最も大きな伸び率を見せたことがわかりました。また 2012 年には、製品の原料となるたんぱく質として、ミルクたんぱく質原料 (MPC、MPI、ミセラカゼイン) が最も多く使われており (349 製品)、カゼイン塩 (189 製品) がそれに続く結果となりました。経口栄養において、WPC および WPI はカゼイン塩とほぼ同数の 165 製品、そして経管栄養においては 129 製品と最も多くの製品で使われていました。対する大豆たんぱく質は 128 製品であり、原料記載があるものの副原料としての利用にとどまっています。(出典:食品業界専門の調査会社「Innova Market Insights」)