健康とウェルネス

チーズと健康

西洋諸国の食文化において欠かせない存在であるチーズ。いまその人気が世界中で高まりをみせ、チーズを食する伝統のなかった文化圏においても需要が高まっています。独特の風味、そして健康的な食生活という最新トレンドにマッチした高い栄養価をもつチーズに、世界中の高級レストランが注目しています。また、製品開発者やシェフ、その他の食品業界のプロたちは、グローバル市場に流通する幅広い種類のチーズを使うことで、食事においしさと健康を求める消費者の需要を満たす製品やメニューを生み出しています。 

チーズの最新トレンド

食材としてのチーズの消費は全世界で急成長を遂げており、2004 年から 2014 年の間に、その消費量は新興市場で 36%、先進国市場では 15% 上昇しています。1 アメリカは、消費者が楽しみながら味わうことができ、さらに健康に関するニーズを満たすことのできる、何百もの異なる種類とスタイルのチーズを提供することで国際需要を加速させています。チーズは以下のような特長を備えています。

  • たんぱく質やカルシウムなどの必須栄養素を含む。
  • 子どもから大人まで、あらゆる世代の健康的な食生活に取り入れることができる。
  • シンプルな原料で作られる。
  • たくさんの種類とスタイルがあり、さまざまな用途に使うことができる。  

大切な栄養素を含むチーズ

チーズは、子どもにとっても大人にとっても、重要なカルシウム源となります。ほとんどのチーズにはカルシウムが豊富に含まれており、1 日に必要な摂取量を満たすのに役立ちます。ミネラルであるカルシウムは、健康な歯や骨をつくり、全身の健康状態を良好に保つ働きをします。さらにチーズに含まれるカルシウムは、手軽にとることができ、吸収率が高いことが特徴です。2  

またチーズは、カロリーに対する栄養素の割合が高く、栄養価の高い食品と考えられています。カルシウムの重要な供給源であるばかりでなく、チーズには、質の高いたんぱく質、さらにはリン、ビタミン A、亜鉛も含まれています。2 

牛乳やその他の乳製品に含まれる乳糖を消化することができない消費者にとって、チーズは特に重要な栄養源となります。チェダー、コルビー、モントレー ジャック、モッツアレラ、スイスなどのナチュラル チーズには、乳糖がほとんど含まれていません。チーズの製造過程においてチーズ固形物と乳清が分離する際に、乳糖が自然に除去されます。  

チーズは塩分や脂肪分も含み、カロリーも低くありませんが、食生活に取り入れるかどうかは食品の栄養素を全体的に考慮して検討されるべきです。 3 チーズは、そのおいしさと栄養価の高さから、世界中のあらゆる場所で食されています。


チーズおよびチーズ製品 100 g あたりの栄養素比較

チーズの栄養成分表


健康を重視した食生活に欠かせないチーズ

チーズ 4 かけ= 1 食分

種類とスタイルが多岐にわたるチーズは、糖尿食、植物ベースの食生活、地中海食、菜食主義、グルテンフリー食、低乳糖食、高血圧予防食 (DASH) など、健康にまつわるさまざまなニーズ、要件、食生活に合わせて取り入れることができます。 3    

多くの国の食生活指針で、牛乳・乳製品区分においてチーズの摂取が推奨されています。1食当たりの量は国ごとにわずかに異なりますが、ナチュラル チーズであれば 42.5 g、プロセスチーズであれば 56 g が全体の標準となっています。1 食分がサイコロ大のチーズ 4 かけと覚えておくとわかりやすいでしょう。 3   

果物、野菜、全粒粉とチーズを一緒に提供することで、より多くの量を食べることができ、料理ひと皿の栄養密度を高めることができます。3 また医療関係者、飲食業関係者、世界有数のシェフたちも、チーズをうまく取り入れることで、消費者の健康ニーズを満たしながら、栄養価が高く、食べておいしいメニューを提供することができるようになります。チーズを手軽に食べる方法:

  • サンドイッチにチーズを 1 枚足す
  • シュレッド チーズをサラダにトッピングする
  • さけるチーズやサイコロ状のチーズをおやつにする  

チーズ:原料はたったの 4 つ

ナチュラル チーズは、生乳、塩、スターター (乳酸菌)、レンネット (酵素) というたった 4 つの原料から作られます。生乳を主原料としているため、チーズには、牛乳と同じ栄養素、つまり、カルシウム、たんぱく質、リンが含まれています。4 チーズの製造プロセスで重要な役割を担う塩は、水分量、食感、味、そして機能性を調整し、食の安全性を確保するための天然の保存料として作用します。 4,5  

プロセス チーズはナチュラル チーズを加工したもので、ナチュラル チーズと同じく、カルシウム、上質のたんぱく質、リンなど重要な栄養素を含みます。またカルシウムやビタミン D を強化することもできます。5 チーズを加工することにより熟成が止まり、風味や食感の保存ができ、さまざまな料理に使える手軽で美味しい食品を作り出すことができます。プロセス チーズに使われる塩により、固さと風味が与えられます。また天然の保存料としても作用するため、食品の安全性を高めることもできます。5

便利で何にでも使えるうえ、味も抜群

チーズは、そのまま食べてもおいしい食品として、さらにはどんな食事にも合う万能の食材として、世界中で楽しまれています。種類によって味と食感がさまざまに異なるチーズは、あらゆるタイプの食の好みを満足させることができます。プロの料理人から消費者まで幅広いニーズを満たすことができるよう、使いやすい形状が数多く提案されています。


1 OECD-FAO Agricultural Outlook 2014-2023.http://stats.oecd.org/Index.aspx?DataSetCode=HIGH_AGLINK_2014>.
2 Dairy Research InstituteTM, NHANES (2003-2006).Ages 2+ years.データ出典元:Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Health Statistics, National Health and Nutrition Examination Survey.Hyattsville, Md.:U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention.2003-2004; 2005-2006.http://www.cdc.gov/nchs/nhanes.htm>.
3 Cheese and Nutrition, Innovation Center for U.S. Dairy and National Dairy Council, 2011; International Dairy Federation.Bulletin of the International Dairy Federation 446/2010:The World Dairy Situation 2010.
4 Cheesemaking:A Wisconsin Tradition.http://trade.eatwisconsincheese.com/wisconsin/how_cheese_is_made>.2011 年 2 月 15 日参照.
5 Guinee TP.Salting and the role of salt in cheese.International Journal of Dairy Technology.2004; 57(2-3):99-109.